『KINNIX』について

横田 静夫
a第二南診療所(京都南病院)  b高雄病院・内科

はじめに

筆者は、「生薬の煎じ」を用いる治療を基本にした漢方診療に従事している。 KINNIXは、筋痙攣・こむら(腓)返りの治療に常用している生薬を原料とした飲料である。以下、KINNIXが生まれるキッカケと経緯を簡単に述べる。

筋痙攣・こむら返りの漢方治療

筋痙攣、こむら返りに対しては、芍薬の有効性が知られており(1)、エキス製剤の芍薬甘草湯が一般的に使用されている。筆者も、日常診療においては、芍薬甘草湯エキスをよく処方している。また芍薬は、漢方治療において戦略的ともいえる役割(静脈系のうっ血を改善するという)を果たしており(2)、繁用される生薬のひとつである。 筆者は、筋痙攣・こむら返りに対しては、芍薬以外にも、生薬としてはあまり馴染みがなく知られていない「植物材料」を、長年にわたって使用している。 これまでに多くの症例において、煎じ薬の形で処方してきている。粉砕して散剤の形で試したこともあるが、内服しにくいものであった。大半の例は、とくに基礎疾患がないこむら返り・筋痙攣であるが、腎不全の透析患者で全身筋痙攣をきたすもの、あるいは坐骨神経痛があり歩行時、階段の昇降時に臀部からふくらはぎまで筋痙攣と疼痛をきたすものなど、こむら返り・筋痙攀が日常動作そのものに支障をきたしている症例に対してもかなり有効であった。また芍薬甘草湯が無効な症例で奏功することも経験している。ちなみに臨床上は、KINNIXの3ないし6パックの含有量に相当する用量を投与することが多い。 (1)鳥居塚「生薬の薬効・薬理」(医歯薬出版) (2)江部・横田「経方医学1」(東洋学術出版社)

スポーツでの使用

スポーツ中のこむら返りは、かなりの人が経験していると思われる。筆者は、サッカーと個人的にかかわることがあり、試合中にこむら返りを起こしてプレーができなくなったり、パーフォーマンスを落としてしまう選手を、幾度となく目撃してきた。しかし、スポーツにおけるこむら返りは、それ自体としては外傷とかスポーツ障害のような疾患とされておらず、医療の場ではこむら返りの治療していたにもかかわらず、スポーツの場では、こむら返りはスポーツにつきものの事象として、特に意識することもなく来たのであった。 6年前、プレー中の筋痙攣・こむら返りもやはり等閑視すべきではない、と考え、日常診療で用いている生薬を転用することにしたのである。 そこで、こむら返りをよく起こす高校生に、この植物の煎じ液をパックにして、試合前に試飲してもらったところ、試合中のこむら返りを「予防」することができたのであった。また当日の夜も飲用することによって、翌日の筋肉の疲労感も比較すると軽減している感じがするとのことであった。このパックがKINNIXの原型であった。 ただ煎じパックの器械が一般の漢方処方に使用しているものであり、他の生薬の臭いと味が混入し、「まずい」ものであった。 2000年の秋に、河上勝彦、岡本毅章との雑談中に、このパックの話しが出て、このパックをスポーツをしている人たちにも広く使ってもらえるように、3人でパックの製造と提供をしようという展開になったのである。3人組をSPORTS-MED-JAPANと自称し、そのパックをKINNIXとネーミングしたのであった。 その後、社会人、大学生のチームに煎じ液パックKINNIXを使用してもらったところ、試合中のこむら返りの既往のある選手もこむら返りの発生が「予防」できたのであった。2000年12月に、社会人チームで、こむら返り、体のキレについてのアンケート調査を実施し、感覚的・主観的ではあるが「有効性」を確認することができた。サッカーの場合、ウオーミングアップ後、ハーフタイム、あるいは延長前と飲用することで通常「予防」できている。 さらに継続してKINNIXを使用することで試合中のケガが減少するという印象も得られた。こむら返りをもたらすような筋疲労は、同時にケガにもつながりやすい以上、この結果は当然ではあるが、筋疲労からのケガが減少するということはやはり有意義であるといえる。 以上の過程で、味に工夫を加えて、飲みやすい清涼飲料KINNIXという形になったのである。

KINNIXの原料となる植物と芍薬との比較

まず味の点で、芍薬のような苦味がなく、清涼飲料の原料たりうるということである。次に、当該植物が「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」の範疇に含まれるものであり、「食品という形態」でスポーツ、あるいはリハビリやトレーニングをバックアップできるのである。ちなみに芍薬は「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」である。